第10章

巻物がゆっくりと広がり、そこには古風な屋敷が描かれていた。青い煉瓦と灰色の瓦、白い壁に朱色の門、奥深い中庭。

屋敷の中央には枝葉の茂ったアオギリの木があり、その下には石のテーブル。テーブルの傍らには慈愛に満ちた老人が座り、その隣には若い女性が立っていた。女性は優しい目元で、微笑みを浮かべており、まさに相澤おばあさんの若かりし頃の姿だった。

相澤おばあさんは見入っていた。絵の中の一つ一つの細部が生き生きとしており、まるで時が巻き戻り、温かい思い出の時代へと彼女を連れ戻すかのようだった。

相澤おばあさんの年老いた瞳に涙が浮かび、震える手で巻物を撫でた。まるで失われた青春を撫でるかのように。...

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